受講後インタビュー:社会起業家支援 古川寛さん

古川 寛さん

  • 合同会社松下生活研究所
  • 大分県地域おこし協力隊
    サポートチーム
  • 九州地域おこし会 会長

心理的安全性アンバサダー認定ワークショップを修了された「ふる」こと合同会社松下生活研究所でコンサルタントとして活躍されている古川寛さんに受講後のインタビューにお答えいただきました。

心理的安全性アンバサダー認定ワークショップ、お疲れ様でした。

ありがとうございます!

さっそくですが、受講後インタビューをはじめていければと思います。まず、受講のきっかけは何だったのでしょうか?

今日もいらっしゃいますが、あーささんと8月お盆明けくらいに研修会でご一緒しまして。その時にあーささんは、スタッフ側にいらっしゃったんですけど、あーささんの場の回し方とか、参加者への話しかけ方、声がけのやり方が、上手とか下手とかじゃなく、すごく柔らかくいい雰囲気で回されてたんですよね。その謎を知りたくてですね。そんなときに9月のコースの案内をあーささんが出されていて、参加しました。

なるほど、あーさの雰囲気づくりの秘訣を知りたくて参加されたのですね。

そうなのです。もう一つ深い理由があって、私自身も講師をやるのですが、どうしてもティーチングに近い状態になるんですよね。一方的に課題を出してやってもらう展開になることが多かったので、自主性・・・というと固い感じなので、もっと楽しんでほしい、その雰囲気づくりを学びたいと思って受講を決めました。

先ほどのお話でいうと、セミナーや講座がティーチングになるということをお話しされていましたが、他にも受講にあたって期待されていたことはありますか?

これも偶然なのですが、会社の方針で、研修会とか、コンサルティングも太くやっていこうという話になっています。コンサルティングに対して不安はありませんが、セミナーで一方向に矢印が出てしまう部分の課題、そしてまだまだ自分の知らないことはいっぱいあるという知的探究心みたいなのもありました。

それでは、受講にあたって何かハードルなどありましたでしょうか?

一つは、有料の講座なので、お金の話はハードルはありました。これは私自身はハードルではありませんでした。なぜかというと、あーささんを知ってたからですね。
でも、あーささんの投稿で心理的安全性をググって説明見たら、全然わからんかったんよね。で、Peatixの内容をみても回りくどくてわからなかった。だから、これ受けて大丈夫か?と思った(笑)

本当にすみません(涙)。これでも説明からはインプロ色をなるべく無くして、わかりやすくしているつもりなのですが。伝わりづらいですよね。

シンプルに、何なのかわからなかった。で、補正をかけて、あーさをみて、Peatix もみて、ああこういうことかと思った。わかるんですよ、だって、受講して、そのことを社内で話すときにやはり困るんです。ニュアンスの部分が大きいからかなとは思いますね。

で、ですよね。

逆に何も見せへん方が面白い、というか良いんちゃうかなと思う。やっぱり、飛び込んで来れる人じゃないと受け取れないものがあると思うんですよね。理屈っぽい人からすると、わからないところがあるような…

確かにそこはハードルかなと・・・いやぁ、どうしたらいいんでしょうかねぇ!

コンサルタントに相談する図 …(笑)

他の人には、とりあえず受けて見たらわかる!受けてみろ、とシェアしてみようかなと思うんですよね。申し込みの時に誰かの紹介だと書く欄があったら、誰からの紹介かわかりますよね。それでテストできそうですね。

さっそく、項目を追加しておきます。

受講してみて、火・木・土のコースで、日程的にちょっときつかったところはありました。中二日、中三日くらいだと自分に落とし込む時間が十分取れて、やりやすいかもしれないと思いました。体感型のものなので、合宿などだったら仲間とアウトプットしながら深めることができるが、オンラインで知らない人と参加だと、生活圏の周りの人とシェアはできないので、それを考えるとある程度間が空いている方が良いのかなと思いました。

なるほど。個人で落とし込む時間という意味では週1ぐらいが理想かもしれません。それでは、受講後の効果について、期待も含めお聞かせいただければと思います。

そうですね。まず、会社で心理的安全性という言葉を意図的に使うようになりました。社内にも心理的安全性が侵食するようになった。具体的にそれを捕らえられているかわからないけれど、感覚的に捕らえている人が増えている感じはあります。自分のスタンスとしてもコミュニケーションで一呼吸置いて「この伝え方で大丈夫かな?」と思うようになりました。

講座終了後の懇親会でも具体的なエピソードをお話いただいてましたよね。

会社が関係する店舗があるのですが、その店員のひとりが問題を発生させてしまいました。まずは本人に話を聞こうということになりました。社長と私の二人でヒアリングする予定でした。そのとき心理的安全性のことが頭にあり、メインでお店を回してくれている女性にも入ってもらおうということになりました。その女性がいない状態で、私と社長だけでは話しにくいのではないかという問いが出て、3人で立ち会うことになった。そして、事前に社長と今回は「責めない」と決めて、ヒアリングをしようということにした。それは心理的安全性のこの講座を受講していたからそれを提案できたし、社長も頭のいい人だからすぐわかってくれた。

確かに社長と2対1では、話せないことも出てくるかも知れませんね。

エイミー・C・エドモンドソン教授も本のなかで、失敗の取り扱い方について書いている。失敗が起こる背景、それを聞かないと組織として何も改善されないだろうと…。それでヒアリングしたところ、思いの外、根が深かったのです。

もし、失敗を責めていたらどうなっていたのでしょうか?

社長は基本的にコンサルが長いので、責めることはないけれど、なぜそういう行動をしたのか?という問いの出し方にはなっていたかもしれない。それでも解決策を見出せたかもしれないけれど…。

もちろん、そうだと思いますが。2対1だったら、深いところまで到達しなかった可能性もありますよね。

そうですね。そういう意味でも、社内に徐々に心理的安全性という雰囲気が浸透つつあると感じています。自分自身も正確に捕らえられているかはわかりませんが。まずは、心理的安全性という存在を知っているか知っていないかでも違うと思います。うちのコンサルはちょっと変わっていて、指導はもともとしていなくて、傾聴型なのです。だから新しいものが入ってきたというより、今までやってきたことが「心理的安全性」という言葉で説明された感じですね。その分、親和性も高かったと思いますし、導入や浸透はしやすいのかなと思います。

親和性が高かったということですね。それでは、今回のワークショップのなかで、印象に残っているシーンやワークについてお聞かせいただけますか?

パッと浮かぶとしたら、Yes, And ブックダイアログですね。他のワークももちろん楽しかったけど、Yes, And ブックダイアログは アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD) のストレスを一気に払拭できました。Yes, And ブックダイアログは、他の人が別の目的で読んでくれて、それをシェアしてくれるので、自分で読むよりお得に感じました。

もともと ABD に心理的安全性が少ないな~と感じていました。過去の心理的アンバサダー認定ワークショップでも ABD に近い形でやっていたのですが、単なるサマリーシェアになるし、ABD に慣れた人、得意な人だけが…、となってしまうのがしっくりこなくて。初めての人も含め、参加者がそれぞれの観点でのびのび読んでシェアすることで、学びも深まり、おもしろくなると思っています。

自分の読書史上読んだ量は、最も少ないはずなのに、読んでよかった!と思える画期的な読み方でした。みんながそれぞれバックボーンが違うからこその視点があって、それを聞いて、自分の理解度を高めることができ、自己研鑽できる。一般的な ABD は慣れが必要で、これは各自がそれぞれの目的設定することで、正解を無くした、という点でも素晴らしい。心理的安全性アンバサダーのダイアログにふさわしい読み方だと思います。

絶賛ですね。

ありがとうございます(涙)。開発した本人として無茶苦茶嬉しいです。これも心理的安全性を前提とした設計の賜物かなと思います。もっと Yes, And ブックダイアログについてお聞きしたいのですが、進めますね(笑)。

今後の目標やビジョンについてお聞かせいただけますでしょうか?

心理的安全性だけということではないのですが、新しい地域づくりの方向性を見出そうとしていて、今回心理的安全性に出会ったことで、この方法論なら地域づくりで日本を元気にできる … 、という確証が得られたと想っています。
今後、講演などで心理的安全性を含めて、お話しさせていただくことになるだろうなぁと思います。社会起業家の人たちとも出会うので、その人たちにとっては切っても切り離せないことだと思うからです。今後は教える、というより、一緒に学んでいきましょうとやっていくことになると思います。

おお、確証ですか。

そうですね。その上で、地域の方々にも学んでいただく、知っていただく必要があるものだと思っています。例えば、過疎化、少子化、高齢化って言われるけど、これって辿っていくと、人が出て行って起こっていることです。出て行ったことで、子供を産む世代がいなくなり、そして、高齢の方々だけが残った。表向きは、田舎だと云々というけれど、本音はみんなしがらみの話をします。田舎特有の言いたいことも言えない、上から言われたら絶対だ、みないな。今まで私は、田舎独特のしがらみだと思っていたけれど、それって心理的安全性が守られていないということじゃないかなと変わりました。

なるほど。しがらみ = 心理的安全性の欠如、ということですね。

そうですね。今、50代くらいのおじちゃんと飲んでいるときに、「子供どうするの?」と聞いたら「帰ってくるなというてる」と。自分のようにしんどい思いさせたくないと。
子どもにそれを伝えると、「それはわかるけど、でも自分の地元だから帰ってきたい気持ちがある」と話していたと。更に出て行った人に聞いてみると、帰りたいと思っている人もいます。でも、帰ってきにくい何かがある。これらの気持ちは間違いなく、過疎化、少子化、高齢化を進めていて、地域を衰退させる。だからこそ、じっちゃん、ばっちゃんに、(心理的安全性で)ちょっと変わろうよとしてみたい。

田舎だけでなく、男性がほとんどらしいのですが、定年退職をされて、会社から地域に上手く戻ることができないという話は良く聞きます。退職した会社の名刺を出したり、元◯◯という会社の役員をやっていたとか名乗ってしまったり…。フラットな地域でのコミュニケーションと言う意味での課題も感じています。

ついこの間ですが、ある女性と話をしていて、子どもが昨年の暮れに生まれた、とのことでした。もう働きたいとのことだったので、何の気なしに「どうして?」と聞いたら、「自分の居場所があやふややねん」と言いました。それは、働いていないと自分の居場所がない感じがするという理由でした。それって優しくない社会だなと思いました。子育てでは社会に居場所がない感じがするなんて…、と課題を感じました。

定年退職された人へ話を戻すと、会社がないと、自分の居場所がないのかなと。どんな方でも社会の中に居場所があるようにしたい。社会として、課題として、心理的安全性と向き合わなければならい時期にあるのだと思います。

仕事で培ってきたコミュニケーションが使えない訳ではないと思います。でも、心理的安全性の感覚がなければ、自分が心地よい長期に渡って染み付いたコミュニケーションが出てしまう。だからこそトレーニングで良い方向に導いてあげることが必要だなと思います。

そうですね。田舎が居心地がいいと思うのは、自分を自分として捕らえてもらえていると思うからでしょうね。
田舎では役場や地元の有名企業にいたような方々がどうしても苦労されるんですよね。俺は偉かったはずなのに… で、家でもうるさくて、奥さんにも嫌がられてしまう…(笑)

会社や役場というヒエラルキーや肩書に守られたコミュニケーションの中に長年いらっしゃった方々ですよね。

肩書きで仕事をしている方々は、どこの大学だとか、今の肩書きを聞いてくる。序列を決めたがるわけですよね。その人をひとりの人として捉えると、違うはずなのですが、フラットだから良いチームが作ることができる訳じゃないですか。

そういうフラットな関係を見せていくのに、インプロは使いやすいんですよね。以前、ある大学の先生とワークショップをやったときにその方がおもしろい実験をしました。ワークショップの最初に参加者全員で自己紹介をしたのですが、ある知り合いに「私は寿司職人をやっています」とウソの自己紹介をしてもらったんです。自己紹介の直後にその先生がウソだと、その意図も含め種明かしをしました。それでもワークショップ後の懇親会で真顔で「寿司職人をされているんですよね?」って聞いていた参加者がいました。如何に我々が肩書で人を見ているかの良い例だと思います。

肩書きは記号ですよね。属性ってコミュニケーションを楽にするし、便利にするものでもあると思います。もともと私の考え方の中で、年齢に対する意味は少ないんですよね。自分は42歳だけど、隣に35歳の人がいたとして、そうなると、自分以外の35歳の人生を生きてる。その人生を僕は知らないわけで。だから年齢は、人と人が対等で分かちあうために必要だとは思わないってことですね。

そうですよね。まあ、体育会系出身の私としては、相手の年齢がわかるとコミュニケーションしやすい、というのはあります。今はあまり気にしませんが。

最後にこの心理的安全性アンバサダー認定講座をどのような方々におすすめしたいか、お聞かせいただけますか。

もう、会社の女性スタッフに勧めましたよ!人とのコミュニケーションや最近ではコーチングを学んでいる人です。コーチングはまだ腑に落ちていないみたいですが。

あと、地域おこし協力隊の人には必須で受けて欲しいです。
そのくらいに勢いで紹介しようと思っています。

今までやってきたことを続けていても、地域は変わらない。それは、ピンチなのですが、逆に地域自体は変われるチャンスなんですよ。その着地点として、心理的安全性のある地域というのはフィットすると思う。地域面白いやん、となったら、勝手に地域は盛り上がるし、定着すると思います。ビジネス的側面もありますけれど、幸せな定年後を過ごすために…、というのもありだと思います。

実は、地域おこし協力隊に私はアプローチできていないんですよ。

それはぜひコラボしていきたいですね。今回は貴重なお話をありがとうございました。引き続き、心理的安全性アンバサダーのコミュニティでもよろしくお願いいたします。

こちらこそ、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

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