対談記事『ベースは心理的安全性』私立小学校教諭 浜屋陽子先生

サマリー

私立小学校教諭・浜屋陽子先生は、心理的安全性を学び始めてからの5年間で、ご自身の授業や教育現場に大きな変化をもたらしてきました。今では「心理的安全性」が先生の代名詞と呼ばれるほど浸透し、教室の日常にも自然と根づいています。
授業の隙間時間には「僕ボブ」や「○○なボール」といったインプロエクササイズを取り入れ、子どもたちが失敗を恐れず、安心して挑戦できる場をつくり出しています。教師が「手放す」ことで子どもの自己決定の機会が増え、自信とレジリエンスが育まれていく——。
浜屋先生は「心理的安全性は柱」と語り、その実践が教育の未来、そして社会全体の豊かさにつながると確信しています。

目次

「ベースは心理的安全性」

— 心理的安全性を学び始めた5年前から現在までの浜屋陽子先生の変化 —

ゲストスピーカー:私立小学校教諭 浜屋陽子先生(れくまり)

インタビュアー:心理的安全性アンバサダー協会理事 福島梓(あーさ)

「心理的安全性」が自分の代名詞に

福島
浜屋先生が心理的安全性を学びはじめ、この5年の間で、先生ご自身の変化はどのようなものでしたか?

浜屋先生
コロナ禍が始まった5年前を振り返ると、社会全体でICTが大きく進み、オンラインで会うことが当たり前になりました。遠くの人とも瞬時に繋がれるようになって、社会の変化を肌で感じています。
その頃「心理的安全性」という言葉はまだ耳慣れないものでしたが、今ではあちこちで聞かれるようになりましたね。

福島
本当に、言葉として随分知られるようになりましたよね。

浜屋先生
はい。ありがたいことに、お話を聞きたいと研修やセミナーのご依頼をいただく機会も増えました。改めて実感しているのは、「アウトプットは最大のインプット」だということです。講師としてお話をするための準備や当日の参加者の皆様とのやりとりで、自分自身が一番深く学べている気がします。 日々の授業や場づくり、友人との対話の中でも、常に「心理的安全性」という言葉をそばに置いて考えています。

福島
先生にとっては特別なことではなく、もう日常に染み込んでいるんですね。

浜屋先生
そうですね。ある意味、私の代名詞のようになってきたとも感じます。コミュニティで「心理的安全性って何?」と話題になったときに、「ああ、陽子さんがやっているあれですね」と言っていただけることが増えました。私だけの力ではありませんが、その一言に励まされて、意識を持ってブラッシュアップしようと思えるんです。気づけば、教育界にも大きく広がった印象があります。

福島
それは先生の姿に触れて「素敵だな、あんなふうになりたい」と思う人が多いからですよ。

浜屋先生
ありがとうございます。本当に広がってきましたね。


心理的安全性は「柱」

浜屋先生
様々な学びを経て感じるのは、「心理的安全性は柱である」ということです。言葉がけ一つにも影響があります。ペップトークのように前向きな表現を意識すること、そして無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)にも気づきながら言葉を選ぶことが大切です。

福島
心理的安全性アンバサダーで習われたことはどのように学校で活かされていますか?

浜屋先生
教室では、学活やちょっとした隙間時間に、子どもたちと『僕ボブ』や『○○なボール』、『否定肯定Yes, And』などのインプロエクササイズを取り入れて、「イェーイ!」とみんなで楽しむ時間を大切にしています。だから、教師である私がうっかり間違えたことを言ったり、板書したりすると、
「先生、そこ違いますよ〜」
「あ、ほんとだ、ごめんね、教えてくれてありがとう」
「イェーイ!」
なんてやり取りもしょっちゅうあります(笑)。

こうした短いエクササイズが、子どもたちにとって「話しやすい雰囲気」をつくる大切なきっかけになっています。心理的安全性を体で感じられる瞬間ですね。


学校に広がった未来

福島
今後どのようなかたちで心理的安全性を教育現場に広げていきたいですか?

浜屋先生
「心理的安全性はぬるま湯ではない」と言われることもありますが、私はやっぱり「居心地の良さ」を大事にしたいです。忘れ物をしてビクビクする教室ではなく、安心して失敗できる場に変わってほしい。
教師自身が「手放し」をできると、子どもたちもリラックスできます。そうすると子どもに委ねる機会が増え、自己決定の経験が積み重なります。その経験が自信につながるのです。教師は「環境」そのもの。安心して失敗できる場づくりこそが重要だと思います。


社会全体で進めるために

福島
心理的安全性を社会に広げていくためにはどのように進めると良いですか?

浜屋先生
社会全体で心理的安全性を進めていくには、「自分で決められる経験」を増やすことが大切だと思います。自分で決めたことなら、たとえ失敗しても自分を許せるし、「次はこうしてみよう」と成長の糧にできます。
その積み重ねがレジリエンスを育て、しなやかでたくましい人を育てるのです。先生も子どもたちも、その経験値をたくさん積んでいけるといいですね。

ご覧いただき、ありがとうございます!
心理的安全性って、言葉だけで伝わりにくいことも多いですが、実際に体感することで変化が生まれます。
協会では学校や教育機関での出前授業・ワークショップを通じて、その実感を伝える活動をしています。
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